一般の皆様へ
FOR GENERAL PUBLIC

保険薬局薬剤師と病院薬剤師

「薬剤師」と聞いてあなたはどこで働く薬剤師を思い浮かべるでしょうか。薬剤師は全国に約29万人いますが、そのうち約16万人が保険調剤薬局、約5万人が病院や診療所で働いています 1)

従来は医師が発行した処方箋をもとに、その施設内の薬剤師が調剤を行うことが一般的でしたが、現在では外来の調剤を外部の保険調剤薬局で行うことが一般的となりました。これは医薬分業と呼ばれ、医業と薬業を独立化させることで、お互いを客観視しやすくすることを目的としています。その効果として、不要薬剤を医師に指摘することによる医療費の削減や、より適切な薬物治療を実現などが期待されています。

実際に薬剤費が削減されたとの報告 2) や薬物治療の質を向上させたデータ 3) も発表されている一方で、このメリットが活かしきれないケースもあります。これは病院や診療所と保険調剤薬局間の情報共有がスムーズでないことも一因であると考えられます。これに対し、保険薬局薬剤師と病院薬剤師が連携・協力することのメリットが提言されてきましたが 4) 、全国的には思うように連携が進んでいないのが現状です。

そこで、会津地域では保険薬局薬剤師と病院薬剤師が集まって会津薬薬連携協議会を設立し、医薬分業が薬物治療にもたらすメリットをさらに向上させていくべく、様々な活動を行っております。

お薬手帳

自身が服用しているお薬の飲み合わせで、怖い思いをしたことはありませんか?実は、お薬手帳は悪い飲み合わせの見逃しによって起こった事件(ソリブジン事件)がきっかけとなって導入されたと言われています。お薬手帳を持つことによって現在使用中の薬剤が明確となり、悪い飲み合わせを回避することができます。

また、お薬手帳は災害時にも大きな力を発揮し、カルテが消失しても、電気が使えなくなっても服用すべき薬が把握でき、更に東日本大震災の際には処方箋の代わりとして扱われた 6) ことも記憶に新しいかと思われます。

現在では電子お薬手帳なども普及し始めていますが、上記のようなことから、会津薬薬連携協議会では紙媒体のお薬手帳も残していくべきと考えており、様々な工夫を凝らした「會津お薬手帳」を作成し、会津地域全体に普及させています。

我々は會津お薬手帳を通して、皆様と医療スタッフがコミュニケーションをとり、安心してお薬による治療ができる環境作りをすすめて行きます。

かかりつけ薬剤師

あなたの周りには、あなたの使用する全ての薬、健康食品、嗜好品などを把握し、24時間体制で治療をサポートしてくれる医療スタッフはいるでしょうか?「かかりつけ薬剤師」はこれを実現し、あなたにとって最も身近な医療者であることを目指す薬剤師です。

あまり聞き覚えのない方もいらっしゃるかもしれませんが、平成28年度診療報酬改訂によってかかりつけ薬剤師の評価が開始されました。これからの医療において、薬剤情報を一括管理する薬剤師の存在が必要であると考えられたからです。

しかし、かかりつけ薬剤師は全ての薬剤師がなれるわけではありません。地域に根付いた医療活動や、お薬に関する十分な知識、3年以上の経験や当該薬局での継続的な勤務、地域活動への参加、研修認定の取得などのクリアすべき条件が設けられており、一定以上の能力があると認められた薬剤師のみがかかりつけ薬剤師となれます。

会津薬薬連携協議会においても、かかりつけ薬剤師を地域の皆様にとって真に有益なものにすべく努力しています。あなたも、薬のアドバイザーを一人もちませんか?

お薬について

お薬は誰が飲んでも同じ効果を示すわけではありません。お薬は年齢や体重、人種、性別、腎臓機能や肝臓機能、使用のタイミング、食事の前に飲むか後に飲むか、あるいは別の薬剤との飲み合わせなど、様々なものによって影響を受けます。これらを知った上で皆様に助言を行うことも薬剤師として大切な使命です。そのためにはお薬を使用する方のライフスタイルや検査値等を知る必要があり、会津薬薬連携協議会ではそのような情報の共有にも力をいれて取り組んでいます。